オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
押すのが重なったかのように見せかけて私の手をあからさまに握ったその手には、見覚えがあった。
大きいけれど、指が長くて奇麗な手。
昨晩、私を幾度となく愛撫した手―――。
「柊介…!」
思わず口にして、私はすかさず手を離す。あたりに目をやるけれど、昼間の社員たちは、仕事の真っ只中で忙しそうに前ばかり見ていた。
「おはよう。やっぱり出勤したんだな。さすが仕事熱心だ」
向居は笑った。白い歯を見せた芸能人さながらの完璧なスマイルに、今更ながら見惚れてしまう。
私は視線をそらして頬を膨らませた。
「そういう柊…向居こそ、人のこと言えないでしょ」
「そうだな。ほんとは午後も休もうかと思ったんだけれど、お前は絶対に出勤すると思ったら、つい。お前に会うために出勤したようなものだ」
と言うと、向居は一歩進めて私のすぐ隣まで来て、私の耳元に唇を寄せた。
「笑えるよな。たった数時間離れただけなのに、すごく寂しかった」
甘いその囁きに、私はショルダーバックの持ち手をぎゅっと握りしめた。
「それは…私だって同じよ」
「ほんとに?」
「…ほんとよ」
見て分かるでしょう。私の顔、今すごく真っ赤よ。
大きいけれど、指が長くて奇麗な手。
昨晩、私を幾度となく愛撫した手―――。
「柊介…!」
思わず口にして、私はすかさず手を離す。あたりに目をやるけれど、昼間の社員たちは、仕事の真っ只中で忙しそうに前ばかり見ていた。
「おはよう。やっぱり出勤したんだな。さすが仕事熱心だ」
向居は笑った。白い歯を見せた芸能人さながらの完璧なスマイルに、今更ながら見惚れてしまう。
私は視線をそらして頬を膨らませた。
「そういう柊…向居こそ、人のこと言えないでしょ」
「そうだな。ほんとは午後も休もうかと思ったんだけれど、お前は絶対に出勤すると思ったら、つい。お前に会うために出勤したようなものだ」
と言うと、向居は一歩進めて私のすぐ隣まで来て、私の耳元に唇を寄せた。
「笑えるよな。たった数時間離れただけなのに、すごく寂しかった」
甘いその囁きに、私はショルダーバックの持ち手をぎゅっと握りしめた。
「それは…私だって同じよ」
「ほんとに?」
「…ほんとよ」
見て分かるでしょう。私の顔、今すごく真っ赤よ。