オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
そう思っているのは柊介も同じだ。気持ちが昂った時、いつもは固く引き締まったそのセクシーな唇が物欲しげに薄く開くのは、昨晩気づいた彼の癖だ。
雄がにじみ出たそのしぐさに私はすっかり魅惑され、昨晩幾度と重ねた濃厚なキスの記憶に浸ってしまう。
でも、理性もかろうじて働いている。
だめよ都、キスなんて。真昼間の社内でキスは―――。
社員が出て行く。
すかさず落ちてきた唇を、私は蕩けるように目を閉じて受け入れた。
乾いた喉を潤すように、昨晩何度も貪った唇の味を確かめる。柊介。柊介―――泣きそうになるほどに痛切に求める―――柊介、会いたかった、寂しかった。
柊介のひどくひんやりした手が私のハイネックの中に忍び込み、首筋をなぞる。昨晩刻んだ所有の証を確かめるように。
「んっ…」
そこは暴かれた私の弱いところでもあった。
細胞の隅々まで敏感になった私は思わず甘たるい声をもらし、それを柊介はくぐもった声で笑って、さらに深々と、追い詰めるように私の唇を貪っていく。
その圧迫に押され、こつんと後頭部が庫内の壁に当たった時、エレベーターがまだ動かずにいることに気付いた。
ほんとにもう、私たちはどうかしてしまっている。目的階を押すのを忘れていた。
企画営業部フロアを押し、エレベーターが再び動き出したところで、柊介がやっと唇を離して笑みを浮かべながら、間の抜けたことを訊いてきた。
「大丈夫だったか、キスして?」
「…許可する前にしてるじゃないの」
私は乱れた息をつきながら、迫力のない睨みを柊介に向けた。
お互いに我を忘れてしまっていた。誰も乗ってこなくて奇跡だった。
雄がにじみ出たそのしぐさに私はすっかり魅惑され、昨晩幾度と重ねた濃厚なキスの記憶に浸ってしまう。
でも、理性もかろうじて働いている。
だめよ都、キスなんて。真昼間の社内でキスは―――。
社員が出て行く。
すかさず落ちてきた唇を、私は蕩けるように目を閉じて受け入れた。
乾いた喉を潤すように、昨晩何度も貪った唇の味を確かめる。柊介。柊介―――泣きそうになるほどに痛切に求める―――柊介、会いたかった、寂しかった。
柊介のひどくひんやりした手が私のハイネックの中に忍び込み、首筋をなぞる。昨晩刻んだ所有の証を確かめるように。
「んっ…」
そこは暴かれた私の弱いところでもあった。
細胞の隅々まで敏感になった私は思わず甘たるい声をもらし、それを柊介はくぐもった声で笑って、さらに深々と、追い詰めるように私の唇を貪っていく。
その圧迫に押され、こつんと後頭部が庫内の壁に当たった時、エレベーターがまだ動かずにいることに気付いた。
ほんとにもう、私たちはどうかしてしまっている。目的階を押すのを忘れていた。
企画営業部フロアを押し、エレベーターが再び動き出したところで、柊介がやっと唇を離して笑みを浮かべながら、間の抜けたことを訊いてきた。
「大丈夫だったか、キスして?」
「…許可する前にしてるじゃないの」
私は乱れた息をつきながら、迫力のない睨みを柊介に向けた。
お互いに我を忘れてしまっていた。誰も乗ってこなくて奇跡だった。