オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
ちょっと待って、人の精一杯の虚勢の最中になにを言ってくれちゃってるの、この男。

冗談だとしてもいただけない。
さすがの営業スマイルも保てず向居を凝視するが、相変わらずのクールな微笑からは冗談を言っているようには感じられない。


「俺と一緒に旅行するのは嫌か?」


嫌よ、絶対に嫌!


と即答しそうになるのをすんででこらえて、


「だ、だって彼女さんはどうするの?」


どうせ向居のほうは気立てのいい彼女さんがくっついてきているに決まっている。
だってこいつの見てくれは控えめに言ってもイケメンだ。しかも成績優秀のハイスペッグ。
当然社内の競争率と言ったらすさまじいものだし、社外からだって放っておかれていないだろう。
クールを装っていたって、女なんてとっかえひっかえに決まっている。


「彼女? 彼女なんていないけど」


ひとり!?
男の一人旅!?

いやロケハンに来ているならおかしくはないけれども、それにしたって…。
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