オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
番外編2 The next way to go with you
【都side】
いつもと変わらない、平日の朝。
まるで敵陣に侵入するかのような緊張した心地で、私は企画営業部のフロアに足を踏み入れた。
「あ、はよーございます! 逢坂先輩」
ソロリとコソ泥のように足音を立てないよう歩く私の背後から、元気な挨拶が飛んできた。
ぎくりとしたものの、私は爽やかなスマイルを作った。
「お、おはよう、西くん。今日もエクストリーム出社キメたの?」
西くんは、毎朝一時間かけて自転車通勤する元気いっぱい体育会系ボーイだ。
「はい! 今日はいい天気だったんで最高でした!」
と、返ってきたのは、いつもの屈託のない笑顔。うん、いいわぁこのピュアさ。
「今朝は気温もちょうどよかったよね。いいなぁ、私も朝から運動すれば気分が変わるかな」
「そうっすね! まずは続けやすい方法から始めるのをおススメしますよ」
「たとえば?」
「一駅早く降りて歩くとか」
西君のこのいつも通りの様子から察すると……彼はまだ知らないようね……。
社内に入った瞬間から受付の女の子達に「真相を教えてください!」と質問攻めにあって疲れたけれど、彼の耳にはまだ例の『目撃情報』は届いていないようだ。
と、安堵しながら仕事の準備をしていたら、不意に西君が、猫じゃらしに食い入る猫のごとく、私の左指を追うのを感じた。
ああやっぱり……。
『目撃情報』のことは知らなくても、『これ』には気付くわよねぇ……。
いつもと変わらない、平日の朝。
まるで敵陣に侵入するかのような緊張した心地で、私は企画営業部のフロアに足を踏み入れた。
「あ、はよーございます! 逢坂先輩」
ソロリとコソ泥のように足音を立てないよう歩く私の背後から、元気な挨拶が飛んできた。
ぎくりとしたものの、私は爽やかなスマイルを作った。
「お、おはよう、西くん。今日もエクストリーム出社キメたの?」
西くんは、毎朝一時間かけて自転車通勤する元気いっぱい体育会系ボーイだ。
「はい! 今日はいい天気だったんで最高でした!」
と、返ってきたのは、いつもの屈託のない笑顔。うん、いいわぁこのピュアさ。
「今朝は気温もちょうどよかったよね。いいなぁ、私も朝から運動すれば気分が変わるかな」
「そうっすね! まずは続けやすい方法から始めるのをおススメしますよ」
「たとえば?」
「一駅早く降りて歩くとか」
西君のこのいつも通りの様子から察すると……彼はまだ知らないようね……。
社内に入った瞬間から受付の女の子達に「真相を教えてください!」と質問攻めにあって疲れたけれど、彼の耳にはまだ例の『目撃情報』は届いていないようだ。
と、安堵しながら仕事の準備をしていたら、不意に西君が、猫じゃらしに食い入る猫のごとく、私の左指を追うのを感じた。
ああやっぱり……。
『目撃情報』のことは知らなくても、『これ』には気付くわよねぇ……。