オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
いちいち、ごもっともだ…。

難色をしめしている自分が、急に融通の利かないダメ社会人に思えてくる…。

それでも、この黒い瞳のまなざしに見つめられていると、なにかとんでもない魂胆が潜んでいそうで…胸のざわつきを抑えられない。

いったい、なにを考えているのよ、向居柊介。
いつも負かしている私をこれ以上落としたって、なんの儲けもないだろうに…。


返答に詰まっている私に見かねたのか、向居は横柄に腰に片手を当て「もしかして」と意地悪げに口端を上げた。


「恥じらっている、とか?」

「え?」

「『恋人同士でもない男女が同じ部屋で寝るなんて、いかがわしい』なんて堅いこと考えているのか?」


いつもの慇懃な態度から一転、向居は白い歯を見せて小馬鹿にするような笑みを浮かべた。


「まさかな。いくら仕事人間の逢坂軍師だって、そこまで初心ではないだろ?」

「…な」

「安心しろよ。たとえどんなに欲求不満だって、逢坂にだけは一夜の過ちなんかで手を出さないよ。絶対」
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