オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
なに、これ。

ついに本性を現したわね、この男…!

そうね。
こんな嫌な男、いちいち意識する方が馬鹿らしいわ。

そうよ。
五万が返ってくるなら、たかだか二泊三日くらいどうってことはない。
結局のところ、この男も私を嫌っているんだ。
一緒の部屋で夜を過ごすつもりなんて、毛頭ないのかもしれない。
夜は一人で外出して帰ってこないかもしれないし、飲み歩いて部屋には寝に帰るだけかもしれない。

そうよ…!
勝手に意識しすぎた私が馬鹿だったわ…!

これはお金と仕事を第一に考えたギブアンドテイク。

私たちにそれ以上の意味なんてない。


「いいわ。一緒に回ってやるわよ」

「そうこなきゃ。さすが逢坂、仕事第一だな」


挑戦的な笑みを浮かべる向居に、私は受けてたつように手を差し出した。
『契約成立』の握手とでも思ったのか、握り返そうと向居は手を近付けたが。


「五万」

「ん?」

「宿泊費、先に払って。二泊分、足が出た分は免じて五万よ」


抜け目ないなぁ、と苦笑い、向居は財布から札を出し差し出した。
受取ろうと私は指をのばした、が。
< 30 / 273 >

この作品をシェア

pagetop