オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~



かつては城下町であり今も百万近くの人口を抱えるこの街は、中心を流れる川を物流の大動脈として発展を遂げてきた。

その河川沿いには発展を担った豪商たちの豪勢な屋敷が軒をつらね、川の自然と調和し風情ある景観を作っていたが、現在はその建築様式を残した商業施設や宿泊施設に改装され、この地に必須の観光スポットとなっている。

そして、観光客で賑わうそこから少し外れた場所に落ち着いた趣で建っているのが、今夜泊まる旅館だ。


タクシーが停まったのは、大きな木造の門構えの前だった。
建築当時そのままで残してあるという、今宵の宿の立派な表門だった。

もちろんこの旅館も元は豪商の屋敷だった。
その頑強な造りに圧倒され、歴史を感じさせる木造に味わいを覚えながら潜り抜けると、次に飛び込んできた緑豊かな庭園にさらに心奪われた。


「すごい…素敵…」
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