オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「離してよ…っ! ふざけないで!」


突っぱねようとしながら訴えるけれど、向居はなにも言わない。
言わない代わりに、私の肩を抱く手に力を入れる。
私の訴えなど聞くつもりはない、と知らしめるかのように。

向居の体温を頬に感じる。
熱い。
向居のは特に。

もう片方の向居の手がおもむろに持ち上がった。その手にはスマホがあった。
画面はカメラモードになっている。


「俺はもっと恋人同士らしいことをしたいんだが」


いたぶるかのような低い声で、向居が囁いた。
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