オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「らしいことなんてわざわざする必要ないじゃない…! ごっこなのにやりすぎよ…!」

「やりすぎなもんか。『恋人と行く旅行』なんだぞ? らしいことのひとつやふたつしないと、その気にならないだろ」


と、尊大に頭上に掲げられたスマホには、馬鹿みたいに真っ赤になっている私と、私の髪に唇を寄せる向居が映っている。
カメラの中で、向居が私に微笑んだ。


「ほら、そんな顔しないで笑えよ。記念の一枚だ」

「ま…っ」


カシャ。


シャッターがきられる。
画面には、真っ赤になって止めようとする私の必死な顔(ブレ気味)と、対して余裕の微笑を浮かべて私の肩を抱く向居。

ドキリと高鳴る。

その目は真っ直ぐに私を見つめていた。
画像に釘付けになっている、私自身を。

…馬鹿にしてる…。
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