オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
…先が思い浮かばなかった。
基樹と―――別れるのは悲しい。つらい。
じゃあ、よりを戻し―――たい?

正直、わからなかった


「…この企画、ものにできますよーに」


基樹のことは追いやって、誤魔化すように大きな声で別の願いを言った。
微かな笑いの次に、くぐもったような向居の声が聞こえた。


「声に出さなくても届いているよ」


向居がまだ目を閉じているのをいいことに、私はべっと舌を出してやった。
向居なんかに私の傷心が分かってたまるもんですかっ。


お参りを終えて一礼し、本堂を後にした。


「拍手しなかったな。えらい」

「神社じゃないんだから、それくらいは知ってたわよっ」

「ふぅん」


向居は口端を上げた。


「でもあっかんべしちゃいけないことは、知らなかったみたいだな」


う…気づいてたか。
この人、超能力でもあるの?

というか観音様、朝から無作法してごめんなさいっ。


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