オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
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この地域には日本有数とも言われている桜の名所がある。
かつて城下町であったこの街を治めた歴代藩主の城が建っていた場所がそれだ。
城が建てられた丘には、もともと山桜が群生していて、初代大名が城を築く際にそれらも整備し、城内で愛でられるようにしたそうだ。
城がなくなり城址公園となった今でもその桜は健在で、桜の名所として全国に知られるほどになった。
もちろん、観光スポットとしても必須候補に挙げられる。
朝食を終えた私と向居は、午前はここを観光することにした。
宿を出たのはまだ午前の早い時間だった。今は桜が一番見頃の時期だ。観光客でごった返しているのは目に見えていた。
そんなありきたりな観光スポットに向居が行こうと言い出したのはちょっと意外だった。
当然、私のロケハンコースにも入っていたため私は向居の提案に乗ったのだけれど…
「…また路線バス?」
宿の門を出て、さぁ城址公園へ行こうとした時、向居がまた路線バスを使うと言い出した。