初心者がVRMMOをやります(仮)
見守る人々
またログインすれば、先日ログアウトした場所でセバスチャンがにっこり笑って立っていた。
「さて、本日は冒険者ギルドに行き冒険者登録をしましょうか」
登録してから今日はフィールドに出る計画らしい。
「ここは『TabTapS!』に登録した人たちが最初に訪れる町です。別名『初心者の町』。大抵の方がすぐここから別の町に移動するので閑散としております。ですがミ・レディの場合は長期に渡りご厄介になる気がいたします」
これに言い返せないカナリアである。
「逆にあんまりいないからゆっくり出来ていいかな」
「ミ・レディ、何を仰っているのですか。閑散としているということは、フレンドが出来にくいということですよ。最初は私と二人で大丈夫でしょうが、後々受注するクエストには『○人以上』とか、『フレンド登録されている者どうしてのみ受注可』というものもあるんです。それからギルド単位でのクエストというものもあります。
ですから、ここでのんびりするわけにはいかないんですよ」
だが、これはかなりマイナーなゲームと聞いた。
「マイナーであれ、サービス提供を続けているということ自体、それなりのユーザーがいるということですよ。ミ・レディ、私はAIですが、ミ・レディはそれ以下の知識しか持ち合わせていないんですか?」
「うん。これが初のオンラインゲームだし」
「初の、VRMMOではなく?」
珍しくセバスチャンが重ねて訊ねてきた。
「そうだよ。親が許さなくて、購入する時も保護者欄はお祖母ちゃんでした」
「……そうですか。では、尚更厳しくいかせていただきます。とりあえず武器の使い方、魔法の使い方は早いうちにマスターしてしまいましょう」
いきなりそんな宣言をされると、カナリアもどうしていいか分からない。
「辞めたいと思うほど、厳しくはいたしません。基本操作だけでも早いうちに覚えておくといいかと思いますので」
「はいっ!」
美玖は喜んで返事をしたが、『TabTapS!』において、AIに色々レクチャーしてもらうユーザーなどいない。
大抵が他のVRMMOに飽きて始めるのだ。
そんな話をしていたら、町にたどり着いた。
「ようこそ~~。別名『初心者の町』へ。本当の名前なんて誰も言ってくれないから忘れちゃったわ~~」
軽いノリのお姉さんにカナリアが挨拶をしていたが、セバスチャンが少しだけ呆れていた。
「彼女はNPC、つまりノンプレーヤーキャラです。この町のほとんどがそうですが、見分け方もタブレットかスマホで出来ますから」
「町でもタブレットは出せるの?」
「出せないと困りますね。町の情報、例えば雑貨屋や道具屋などどの位置にあるか調べられませんから」
「タブレット」
ぽん、っとタブレットが出てきた。
「……そうですね。まずはタブレットの操作から慣れましょうか。
では、『町情報』のアイコンをタップして、『冒険者ギルド』を探してください」
「えっと……町情報……町情報……」
四苦八苦している姿を、まさかNPCたちが応援せんばかりに見つめていたということを、カナリアは知らない。
町情報から冒険者ギルドを探し出し、タップした。
すると、町の地図が出てきて現在地とギルドの場所が表示された。
「本日はタブレットを見ながら冒険者ギルドに行きましょう。そのうちタブレットを見なくても行けるようになってください」
「……はい」
実はこの機能、現実世界でも使われているものだということをカナリアは知らなかった。
「さて、本日は冒険者ギルドに行き冒険者登録をしましょうか」
登録してから今日はフィールドに出る計画らしい。
「ここは『TabTapS!』に登録した人たちが最初に訪れる町です。別名『初心者の町』。大抵の方がすぐここから別の町に移動するので閑散としております。ですがミ・レディの場合は長期に渡りご厄介になる気がいたします」
これに言い返せないカナリアである。
「逆にあんまりいないからゆっくり出来ていいかな」
「ミ・レディ、何を仰っているのですか。閑散としているということは、フレンドが出来にくいということですよ。最初は私と二人で大丈夫でしょうが、後々受注するクエストには『○人以上』とか、『フレンド登録されている者どうしてのみ受注可』というものもあるんです。それからギルド単位でのクエストというものもあります。
ですから、ここでのんびりするわけにはいかないんですよ」
だが、これはかなりマイナーなゲームと聞いた。
「マイナーであれ、サービス提供を続けているということ自体、それなりのユーザーがいるということですよ。ミ・レディ、私はAIですが、ミ・レディはそれ以下の知識しか持ち合わせていないんですか?」
「うん。これが初のオンラインゲームだし」
「初の、VRMMOではなく?」
珍しくセバスチャンが重ねて訊ねてきた。
「そうだよ。親が許さなくて、購入する時も保護者欄はお祖母ちゃんでした」
「……そうですか。では、尚更厳しくいかせていただきます。とりあえず武器の使い方、魔法の使い方は早いうちにマスターしてしまいましょう」
いきなりそんな宣言をされると、カナリアもどうしていいか分からない。
「辞めたいと思うほど、厳しくはいたしません。基本操作だけでも早いうちに覚えておくといいかと思いますので」
「はいっ!」
美玖は喜んで返事をしたが、『TabTapS!』において、AIに色々レクチャーしてもらうユーザーなどいない。
大抵が他のVRMMOに飽きて始めるのだ。
そんな話をしていたら、町にたどり着いた。
「ようこそ~~。別名『初心者の町』へ。本当の名前なんて誰も言ってくれないから忘れちゃったわ~~」
軽いノリのお姉さんにカナリアが挨拶をしていたが、セバスチャンが少しだけ呆れていた。
「彼女はNPC、つまりノンプレーヤーキャラです。この町のほとんどがそうですが、見分け方もタブレットかスマホで出来ますから」
「町でもタブレットは出せるの?」
「出せないと困りますね。町の情報、例えば雑貨屋や道具屋などどの位置にあるか調べられませんから」
「タブレット」
ぽん、っとタブレットが出てきた。
「……そうですね。まずはタブレットの操作から慣れましょうか。
では、『町情報』のアイコンをタップして、『冒険者ギルド』を探してください」
「えっと……町情報……町情報……」
四苦八苦している姿を、まさかNPCたちが応援せんばかりに見つめていたということを、カナリアは知らない。
町情報から冒険者ギルドを探し出し、タップした。
すると、町の地図が出てきて現在地とギルドの場所が表示された。
「本日はタブレットを見ながら冒険者ギルドに行きましょう。そのうちタブレットを見なくても行けるようになってください」
「……はい」
実はこの機能、現実世界でも使われているものだということをカナリアは知らなかった。