陽だまり。
昼食の時間も終わり下校ー。
すっかり意気投合し仲良くなった
陽輝と優愛は一緒に帰るらしい。
「ゆずも一緒に帰る?」
「大翔は?」
2人の問いかけに俺は
「あ〜,俺はいいわ。
ちょっと寄りたいとことかあるし。」
気を使ったつもりだったが
2人して付き合い悪いとブーイング。
「私も…ちょっと寄るところがあるから
今日は大丈夫。また誘ってよ。」
3人で帰るのかと思ったのに
どうやらゆずも2人の雰囲気に
気を使ったようで誘いを断った。
「じゃあ…またな。」
俺はいつも通り帰路につく。
途中の河原で座りぼーっと
桜を眺めているとパッと目の前が暗くなった。
「だーれだっ?」
すぐにわかった。
「しおり。」
「よくわかったねぇ〜。
久しぶりじゃん。卒業式ぶりかな?
相変わらず眠そうだね〜!」
ニコニコ話す栞は中学の頃の元カノ。
中2のときに転校してきた。
栞はけっこうわがままで
気分屋なところがありクラスの奴らからは
あまり評判はよくなかった。
「お前は相変わらずのんきそうでいいな。
何組になったの?」
「なにそれ〜。いつも暇みたいじゃん!
うちは4組だよ!大翔は?」
「俺は3組。隣なのに気づかなかったわ〜。」
「うちは気づいてたよ?
陽輝くんも元気そうだったね…。
まぁ…あんま仲良くないけど。」
陽輝は初めから栞を嫌ってた。
陽輝の方が俺よりも洞察力がある。
栞の性格の悪さには一番に気づいていたし
俺が栞と付き合っているときは
俺ともほぼ関わろうとはしなかった。
「陽輝も相変わらずだよ。
今は他校から来た子と仲良くなって
楽しそうに一緒に帰ってったわ。」
「大翔は…?」
「え…?なにが?」
「………。
大翔も楽しそうにしてたじゃん。
前の席の子とか話しかけてたし…。」
栞は横目で俺を拗ねて睨むように見てきた。
「あぁ…あの子は普通に友達だよ。
今日初めて会った子だし。
新入生代表で前で話してたじゃん。」
「うん…。
大翔あんな感じの子タイプじゃないもんね!
大人しくて地味っぽいし…
話してても面白くなさそー。」
話してるうちに栞は自然と
隣にぴったりとくっついてきた。
「近い。もうちょい離れて。」
少し冷めた感じで言うと栞は
しょんぼりした風に少し離れた。
栞とはずいぶん前に別れていて
もう俺の中に栞を好きだという感情は
少しも残っていない。
残っているのは友達としては
気の許せる相手だってこと。
だけど栞はそうじゃなく
まだ未練が残っているのは明らかだった。