不撓不屈(ふとうふくつ)
俺と美幸は同じクラスだったが、一度も会話を交わした事がなかった。

お互いにイジメにあっていたし、下手に仲良くなろうものならイジメが更に炎上しかねない。

だから俺は彼女と話そうとはしなかったし、向こうも俺には近寄らなかった。

イジメについて先生に一度だけ相談した事があった。
だけど、先生は「イジメに合う方にも問題があるんじゃないのか?」
そう言い、深く踏み込まなかった。

親には頼らない。

俺の親は片親で母親しかいない。

女手一つで子供を養うのは大変だ。

これ以上、母親の負担にはなりたくない。
それが物心ついた頃からの俺のプライドであった。

だからこそ美幸の存在は俺の励みになった。

だから毎日の傷害にも耐える事が出来た。

(イジメに合うのはキツイ!でも独りじゃない。
一緒に頑張ろう。)
心の中でそう美幸に言っていた。

もしかしたら彼女もそう思っていたかもしれない。


もはや確かめる事は永久に出来なくなってしまったが・・・。



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