不撓不屈(ふとうふくつ)
公園の中へ歩いて行くと「おう!爆拳」と公園の奥の東屋から諸見里の声がした。

俺は声の方に目を凝らすがこちらからでは見えなかった。

仕方なく更に奥へと歩いて行き、やがて東屋がぼんやりと見えてきた。


東屋の前まで行くとベンチに諸見里が足を広げて座っていた。
両脇に佐藤と鈴木。
下っ端らしい立ち位置だ。

そしてもう一人。

青柳美幸が諸見里の右側に顔を伏せたまま座っていた。

(何故美幸がここに?)

俺の脳裏に嫌な予感が走る。

「よう爆拳。よくきたな」
諸見里がそう言いながらセブンスターを口に咥え火を付けた。

「なに?俺に何か用なの?」
俺への暴行が要件である事は分かっていたが一応確認してみた。

「いやね!お前ら2人がデキてるって聞いたもんだから真相を確かめようと思ってさ」

ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら諸見里が言った。

「デキてるもなにも俺は美幸と話をしたことすらないよ。諸見里君の勘違いじゃない?」


「げへへっげへへっ 隠す事はねーじゃねーか!お前らが出来てるって学校中の噂だぞ」
諸見里が言う。

下っ端の2人がニヤニヤと笑っている。

(こんな事をして何が楽しいのだろうか?しかも美幸まで巻き込んで)
俺はそう思っていた。


「それは単なる噂だよ。実際に話した事すらないんだから。もう帰っていいかな?親が心配する」


「まー待てよ。そんなに急いで帰らなくてもいいだろうがっ!ここは人影(ひとけ)のねー公園で今日はゲストも居るんだからよっ」

諸見里はそう言い美幸の乳房を鷲掴みにした。


「いや!やめてっ」

美幸が精一杯の声をあげた。

「おいっ!黙らせろ」
諸見里が言うと、下っ端の佐藤と鈴木が見事な連携で美幸の口を佐藤が抑え、両腕を鈴木が押さえつけた。

俺は、その光景を見つめながら恐怖の為動けなくなっていた。
< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop