___BlueSky -罪と愛と友情と-___

始まり




20XX年 春






大翔「ねーちゃん!」




空「...大翔」








新しい春の始まり。



桜が舞い


気持ちのいい朝。








大翔「大学行く前に写真とろう」








玄関を出てすぐ、


今年中学生になる弟が

カメラを持って出てきた。








空「ヤダ」



大翔「いーじゃん」



空「一人で撮んなよ」



大翔「俺今日入学式なんだけど、」









写真は嫌い。


その意地で

目の前に立つ弟お言い合い。




それでも、



"入学式"という単語で


少し諦めモードの私。










空「中学生が姉に抱きつくってどうなの」




大翔「ねーちゃん好きだし」




空「彼女出来ねーぞ」




大翔「いーよべつに。ねーちゃんと結婚するから」











入学式そうそう、


髪を明るくして

ピアスなんか付けちゃった弟。




そのわりには

姉が認めるほどの顔の可愛さ。




だから


こうやってくっついて写真を撮っても


ほんとは可愛いな、なんて思ってたり。






けどこんな弟だから、


幼馴染みからは

"シスコン"とよく言われる









空「ほら行くよ」



大翔「ん」










スマホをいじる弟をおいて


家の前の坂を下り降りる。

















空「...」














今日から大学生。




暖かい気候に


降り注ぐ桜の花びら。



坂を下りながら見えるのは


蒼く澄んだ海と空。














大翔「じゃ」




空「ん」




大翔「あ、ねーちゃんナンパされないでね!」




空「アホか」












道の別れ道。



大声でそんなこと話す弟を背中に


島唯一の小さな大学へ。







新しい日々が始まる。


それでも、







空「...」






今の私にはなにか足りない。

私はずっと

半年前の"あの事件"から





ずっと

止まったまんま____







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