過ぎ行く時間の中で
「は、早く服着て!」
「ご、ご、ごめん!でで、でもきゅ、急にどうしたの?」

と、小走りに近くにある服を取りに行きながら、当然の質問をした。
その彼女の返答は意外なものだった。

「今日は大学あるんでしょ?」
「ん、まぁ一応…」
「じゃ、お願いがあるんだけど。」
「な、何?」
「…大学に一緒に行きたいんだけど。」
「…は?なんで?」

少し面食らった。
そんなお願いをされると思ってなかったことも会ったが、結女の意図がわからなかった。

「いいから!一度キャンパスライフを味わって見たかったんだ!」
「いや、そりゃいいけど…」
「迷惑かな?」
「いや、じゃ行こっ…か?」
「やった!」

意図がわからず不可思議に思ったのは事実だが、無邪気に喜ぶ結女の笑顔はとてもかわいく、それ以上深くは考えなかった。

「じゃ、交渉成立ってことで♪」

そう言って彼女は私に缶コーヒーを差し出すのでした。

また私は缶コーヒー1本で彼女に買収されてしまったようだ。

「なんであの時、そんなお願いしたの?」
『…』

頭の中の結女は何も答えない。

「なぁ、なんでだよ。」

すると、頭の中の結女は答えた。

『あの日の事、覚えてるくせに。わかってて聞いてるでしょ。意地悪!』

そうこの日、結女はある決意を元に私を訪れたのだった。

私は軽くはにかんで、軽くアクセルをふかしたー
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