過ぎ行く時間の中で
「私…、やっぱり嫌だよぅ…。」

私は結女を抱きしめた。結女一人にここまで言わせてしまった自分を激しく責めた。でも、もうほっとけなかった。

「ごめんな。でも…、なんて言うか…。月並みな言葉しか思い浮かばないけど…。愛してる。」

結女の鼓動を感じた。すごく速くなっていた。さっきまでヒックヒック泣いていた結女は、まだ目を潤ませていたが、必死の笑顔で言った。

「もう、ホント私はダメっちゃね…。宇宙さんの前ではダメになっちゃう。甘えちゃいかんと思っとうとに…」
「いや、あまえてほしい。俺が全部受け止めるから。」
「もう…。わかった。」

そして上目遣いで結女は言った。

「こんな私やけど…。好きに…なってもいいと?」

もう2人に言葉はいらなかった。二人は黙ってkissをした。
こうして二人は恋に落ちたのだった。

『ホント、別れを言いにいったはずだったのにな。』

頭の中の結女はむくれっ面で言った。

「でも、俺は結女に出会えてよかったと思ってるよ。」

そうつぶやくと、頭の中で結女は言った。

『うん。私もよかったわ。よかったわよ、宇宙。』

確かにそう聞こえた。その声が幻でないと願うかのように、私は一気に車を加速するのだった―

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