過ぎ行く時間の中で
その日も、私は大学へと赴いた。この日はゼミはなかった。

このまま行けば卒業できそうだし、相当遅いが、就職課に向かい、求人情報を探した。

あまり期待できそうにない。
当然だ。やりたいことすらないのだから。

溜め息一つ付き、大学を出ようとした瞬間、頭に大きな衝撃があった。

「パンッ!」

誰かが思いっきり頭を叩いた。こんな挨拶は決まっている。
悪友のあいつしかいない。

「ショージ!なんだよ。」

振り返りもせず、私が言うや言わずで、間髪入れずに、ショージが返す。

「ショージ言うなって!」

初めて振り返って、聞かずとも私を呼び止めた理由はわかった。

ショージの他に、悪友のガスと田中さんがいた。

大学のクズが4人集まれば、やることは決まっている。

麻雀である。

ちなみに、ガスと田中さんの由来を話そう。

ガスの本名は『菅(すが)』と言うのだが、高校の時、おならをしてしまい、それ以来、GUS野郎と呼ばれ、菅をひっくり返して、ガスと呼ばれている。

田中さんの本名は、『御手洗』と言うかっこいい名字だが、本人はいたって特徴もなく、
「お前なんか田中でいいよ!」
と高校の時に言われて以来、田中さんで通ってきたのである。
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