過ぎ行く時間の中で
福岡といえば遠く感じるかもしれないが、昨今の航空事情のおかげで、飛行機代もずいぶんと安くなった。
時間も2時間弱なので、日帰りでも行ける。

つまり、福岡という場所は、昨今の航空事情が、遠距離でなくならせているといっても過言ではない。

つまり、福岡に男がいても、すごく負担であるとはいえないのでは…
と考えてしまう自分がすごく情けなかった。

福岡に到着した私は、結女と話した言葉の端々を思い出し、その地名をまわっていくことにした。

『絶対無茶だよね。手がかりゼロじゃん。』
頭の中の結女は呆れて言った。

ホントに無茶だったと思う。知らない土地の、知らない地名にただ行ってみる。それしか出来ないのだから。

「でも、いてもたってもいれなかったんだよ。」
そうつぶやいて、車を走らせた。

色々まわってみたが、やっぱり手がかりはつかめなかった。最後に二人で写真を見て、「今度二人で行きたいね」と言っていた、結女が通っていた小学校にたどり着いた。

こじんまりとした、小さな小学校だった。
しかし、自分ひとりで、しかも結女に内緒で来てしまったことに、かなりの後ろめたさを感じたのだった。

でも、『何かを調べなきゃ』と言う気持ちには勝てず、近くを通り過ぎる人に声をかけてみたのだった。

すると、結女と同い年くらいの女性が通りかかったので、話しかけると、結女を知っていた。

「ゆ~ちゃんとはどういう知り合いか教えてくれんと?」
そういって、いぶかしげに私の顔を見た。

「私は、あっちで結女と知り合って、つき合わせてもらってる、宇宙と言うものです。」

そう言うと、彼女は言った。

「あ~、昨日電話で言うとった宇宙さんか~。でも、一人で帰ってきた言うとったけん、彼氏と一緒やったんかいな。」

私は、固まった。結女もこっちにいると言うのか?
彼女は結女の幼なじみで、美智というらしい。
< 30 / 30 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop