唇『短編6ページ』
 


わたしの頬を包む掌の暖かさに戸惑いながら、窓の外に浮かぶ月に問い掛ける。


引き裂かれたのは、体?


傷ついたのは、心?



あなたの腕の中で波に揺られながら、体中から涙が溢れ出す。



このまま、どこに行けると言うの?



繋がっているのは、心?


傷つけたのは、わたし?


傷ついたのは、あなた?


この熱い痛みを貧るように、味わうように、わたしはそっと濡れた瞳を閉じた。






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