俺様副社長の溺愛秘書
高級住宅街に尚輝の実家はある。


大きなガレージに車を停めて、尚輝と綺麗に手入れされた庭を横切り、大きな家の前に立った。



「大きいね……、うちとは大違い。」


「別に家の大きさは関係ない。行くぞ。」


「待って、深呼吸を。」


「ほら、行くぞ。」



尚輝が玄関の扉を開けた。私は手を引かれ、尚輝と家の中に入っていく。



「ただいま、朱里を連れてきた。」



玄関で尚輝が大きめの声を出した。用意されていたスリッパを履き、中へと進んでいく。


緊張が大きくなり、尚輝と繋ぐ手に力を籠めた。



「親父、お袋、いるのか?」



リビングらしき扉を尚輝が開けた。明るい部屋には大きな応接セット、ソファーには社長と奥様が座っている。


頭を思いっきり下げて挨拶をした。



「こんにちは、お邪魔します。」


「松井さん、いらっしゃい。」



社長の声に頭を上げた。隣に座る奥様へと視線を向ければ、にこやかに微笑んでいる。



「松井さん、どうぞ。ほら、尚輝、ソファーへ案内して。」
< 101 / 167 >

この作品をシェア

pagetop