俺様副社長の溺愛秘書
副社長室へ朝の報告に入る。


副社長と目が合う――――



「陽輝も出張に同行だ。」



低い声で囁かれる。何処からどう見ても不機嫌だ。



「わかりました。」


「部屋は別だ。」


「えっと3部屋で?」


「はあ?陽輝は別だ。」



不機嫌さ全開の副社長に頷く。ここで反論はしない方がいい。



「陽輝もズル賢くなったな。」


「兄弟ですから。」


「はあ?」



睨まれてしまった。



「俺はズル賢いんじゃない、策略家だ。」



「………。」



沈黙が流れる副社長室で、私は朝の報告を続けた。



「朱里。」


「はい。」


「今日、一緒に帰るから。」


「それは泊まりですか?」


「朱里が泊まりたいならな。少し出掛けたい。」


「………はい。」


「定時に帰る。残業はなしだ。」


「はい。」



副社長が資料を手に取る姿に、お辞儀をして部屋を出ていく。


廊下に出た私は首を傾げた。



「何?」
< 127 / 167 >

この作品をシェア

pagetop