俺様副社長の溺愛秘書
「呼ばれた件は分かってるかな?」



社長の言葉に大きく頷いて返事をした。



「婚約したなら、ちゃんと発表するが?」


「した。」



社長の言葉に副社長が答える。それも短い返事で。



「噂が広まってる。事実を発表するべきだと私は判断するが。」


「俺は問題ない。」


「松井さんは?」



社長の瞳が私を見据えている。穏やかな社長の瞳ではなく、経営者としての鋭い瞳だ。


小さく息を吸い込み、社長へと頷く。



「私も問題はありません。」


「本当か?」



社長ではなく、副社長である尚輝から聞こえてきた声に隣を見た。


真っ直ぐに私を見つめる尚輝を見つめ返した。



「副社長、どういう意味ですか?」


「問題ないなら、なぜ指輪をしない?」


「それは話した通りです。目立つし、恥ずかしいのもあります。」


「恥ずかしい?」


「ダイヤの指輪をする女性は目立ちますから。」



尚輝には分からない。


嵌めているのは私だから。
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