俺様副社長の溺愛秘書
「尚輝、止めなさい。」


「親父、朱里が俺の指輪を『恥ずかしい』とか言ってるのに黙れるか。」


「尚輝、止めなさい。」



社長の声に尚輝が舌打ちした。私から視線を外し、社長を見据えている。


尚輝の視線を気にしない社長と目が合う。



「昔、私の妻にも言われたよ。『凄く目立つから嵌めたくない』とね。」


「なら、小さい石にすれば良かったよ。」


「尚輝、そういう事じゃない。朱里さん、すまないね。尚輝は女心に疎いみたいで。」


「親父。」



社長がクスリと笑っている。この状況下で………。


尚輝の機嫌が悪くなる一方だ。



「尚輝も理解しなさい。石がどうとかじゃない。ダイヤの指輪を嵌めた朱里さんが注目される事を。」


「俺との婚約を注目されたら恥ずかしいのかよ。」


「噂されるのは朱里さんだ。尚輝じゃない。その事を理解しろと言ってる。」



社長の有無を言わさない声。副社長モードの尚輝の声と同じだ。
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