俺様副社長の溺愛秘書
私は尚輝から体を離した。



顔を覗き込み微笑めば、じっと見つめる瞳を見つめ返した。



「朱里?」


「傷つけるつもりはないの。ただ―――。」


「ただ?」


「一人で消化しようとしてた。私だけが感じてる思いだろうだから。」



「………。」



覗き込んでいた体勢を整えて、目の前にあるお酒を一口飲んだ。


ずっとモヤモヤしていた気持ちを吐き出す覚悟を決める。



「ついで………。」


「ついで?」


「だから……。」


「………。」



一度目を閉じて大きく深呼吸した。私を見つめる尚輝に視線を合わせる。


じっと私の話を待つ尚輝に覚悟を決めた。



「ついでに婚約………。ついでに指輪を渡してくれた。」


「はあ?」



意味を理解できない尚輝が聞き返してきた。私はもう一度お酒をゴクリと飲んだ。
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