俺様副社長の溺愛秘書
副社長と二人で、役員の部屋のある階へと歩いていく。



「朱里、この際、秘書は辞めるか?」


「まだまだ未熟者ですから。」


「そうか?賢人が優秀すぎるだけだ。」


「家事も未熟者だし。もう少し頑張りたい。」


「………。」



二年、短くても一年は待つと宣言していた筈なのに――――。


すっかり副社長秘書を外された途端、『結婚したい』と迫ってくる。



「待つと宣言してましたよ?」


「俺の秘書なら。まさか外されるなんて思わなかったんだ。」


「社長の意向です。早く社長になれば?」


「………簡単にはなりたくない。責任が重すぎる。」


「なら、仕方ないでしょ。ほら、今日も仕事を頑張って。ハンバーグを用意しておく。」


「ああ。」



副社長室を通りすぎ、社長室へと向かう。



「まあ親父には感謝してる。朱里の残業を免除してもらってるから。」


「ですね。だから私も家事を勉強できる。」




振り返って副社長に微笑んだ。
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