俺様副社長の溺愛秘書
「親子ですね?」


「そうだな。」



デスクに飾られた写真は社長と奥様。そして尚輝、陽輝の家族写真だ。


陽輝の七五三の写真だ。



「家族は大切だ。」


「はい。」


「孫、楽しみにしてる。もう一つ写真立てが必要だな。」


「先ですよ。」



社長も奥様も私を歓迎してくれている。その事が凄く嬉しい。


社長室から廊下へと出る。そこには、副社長が立っていた。



「副社長、どうかしました?」


「孫、楽しみだって?」


「……………。」


「朱里、楽しみらしいぞ?」


「副社長、立ち聞きですか?」


「聞こえただけだ。」



副社長が入れ替わりで社長室へと入っていく後ろ姿を目で追う。



「待つんじゃなかったの?」



誰もいない廊下に私の囁きが漏れた。頭を切り換えて、本日の業務へと向かった。


何も変わらない筈だった。


だけど変わってしまった環境に、嫌ではないと思う自分がいた。
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