俺様副社長の溺愛秘書
「壁は薄いから。賢人さんも兄貴も禁止ね。」



沈黙の流れる車内。私は当然の話だと頷いた。



「当たり前でしょ。」


「…………チッ……、やっぱり二人で来るべきだったか。」


「女を飽きるほど抱いてたんでしょ?今更、焦らなくても。」


「話を戻すな。まだ怒ってんのか?」


「別に。私も尚輝を責められない立場だから。」


「元彼って、アイツだけだろ?会社にまで乗り込んできたアイツ。」


「………。」



もしかして元彼は一人だけだと?


いや、ここは一人の方がいいのか?



考え込む私に笑い声が聞こえてきた。間違いなく陽輝だろう。



「朱里さん、モテモテでしたよ?まさか一人だけの訳ないし。」


「………何人だよ。」


「…………。」



突き刺さる視線に黙り込む。



「俺と別れた後、何人と付き合った?」


「………3人かな?」


「…………俺には『忘れられない存在だ』と言ったよな?」
< 23 / 167 >

この作品をシェア

pagetop