俺様副社長の溺愛秘書
尚輝に掴まれた腕が離されない。


誰もいなくなった車内は気味が悪いほど静かだ。


突然、掴まれていた腕を引っ張られて体勢を崩した。


尚輝が私の頬を両手で挟み、顔を近付けてきたと思ったら――――。



「………ッ…………。」



噛みつくようなキスをしてきた。そのまま背後に押され、座席に押し付けられた。


尚輝の重みを感じる。



「ちょっ、尚輝。」



離れていった唇に大きく息を繰り返す。



「朱里に経営の難しさなんて求めてない。ただ陽輝には求めてる。」


「………。」


「朱里は俺の秘書だし、会社の企画会議にも出席する。だが秘書だ。」


「わかってる。」


「陽輝は秘書じゃない。経営に携わる人間だ。それに―――朱里には会社を辞めてもらう予定だ。」



尚輝の言葉に目を大きく見開いた。



「辞めてもらう予定?」


「結婚するんだ。当たり前の話だ。」



尚輝の言葉に沈黙が流れる。
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