俺様副社長の溺愛秘書
「陽輝?」



リビングに響く尚輝の低い声。キッチンからチラリと陽輝に視線を向けた。


ソファーに凭れて寛いでいる陽輝はいつもと変わらない。


内心、ホッと息を吐き出した。



「陽輝?」


「兄貴、何だよ。」


「朱里と何を話してた?」


「………世間話。もっと休みたい!って話をしてただけ。」



陽輝の言葉に私も尚輝に声を掛ける。



「ほら、今日で別荘ともお別れだから。」


「海、もっと行きたかった。朱里の水着ももっと見たかった………。」


「聡、ジロジロと見てるな。」



話題が逸れ始めた。悠木さんの明るい話し方に部屋の雰囲気が和み始めた。



「聡も陽輝も誘われた女と楽しんでただろ。」


「水着だぞ?そりゃあ、誘われれば遊ぶ。なあ?陽輝。」


「俺と聡さんはフリーですから。兄貴、羨ましかった?」


「はあ?俺は朱里で十分だ。」


「そう?」



すっかり部屋の雰囲気が落ち着いた。


何事もなかったような陽輝の様子に、遊ばれただけなのか?


私も忘れる事にした。
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