俺様副社長の溺愛秘書
「一緒にいたいからに決まってるだろ。」


「………まだ付き合い短いし。」



やんわりと断った。


だって本当に付き合ってから日が短いし。



「ははっ、尚輝、フラれて………。」


「フラれてない。聡、笑うな。」



この状況で笑えるのは悠木さんだけだ。尚輝の不機嫌さは誰が見てもわかる。



「朱里、付き合いは短くても俺と朱里は高校から知ってる。」


「…………10年のブランクあるでしょ。」


「でも高校からの付き合いだ。」


「いやいや、付き合ってからは短いよ?」



私と尚輝の押し問答に飽きたのか、皆が席を立ち上がり移動し始めた。



「尚輝、朱里、荷物の用意してこいよ。」



悠木さんがリビングから出ていく。私も席を立ち上がり、尚輝を見下ろした。



「尚輝、荷物。」


「………。」



無言で立ち上がり、私の手を繋いで部屋に向かっていく。


不機嫌でも手は繋ぐんだ?
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