俺様副社長の溺愛秘書
尚輝と過ごした部屋だけど、ほぼ二人では過ごしてない。


寝るのも、尚輝達は飲んで話して盛り上がってるから、私と真央は先にベッドに入っていたし。


日中も皆と過ごしていた。



「尚輝はゆっくり出来た?」


「まあ楽しめた。」


「まあ………って。私は楽しかったよ。」


「朱里とゆっくり過ごせる時間がなかった。」


「そうだね。」



鞄に荷物を詰め込んでいく。ふと、気配を感じて見上げれば尚輝が立っていた。



「尚輝、どうかした?」


「今日、泊まらないか?」


「………車ないけど?」


「…………俺のマンションに。」


「………。」



静まり返る部屋、尚輝の視線に鼓動が速まる。じっと私を見下ろしている。


中々返事をしない私に、尚輝が膝をついて私の前に座った。その動作を目で追う。



「朱里、今度こそ、二人で過ごしたい。」



緊張が一気に駆け上がっていく。見つめ合う私達の間に異様な雰囲気が漂う。
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