俺様副社長の溺愛秘書
「私は賢人と対等ではいられない。」



小さな囁きに声も掛けられないでいた。



真央と賢人の間には何かあったのだろうか?



そんな疑問が自然と浮かび上がってくる。



「私は賢人に救われた。だから賢人には恩があるの。だから対等ではいられないよ。」


「………。」


「賢人が駄目だと言えば駄目なの。賢人の嫌なことは出来ない。」


「………。」



真央の真っ直ぐな瞳が私を見つめ返してきた。



「高城さんにも朱里にも悪いけど、賢人が駄目と言えば行けない。」


「………。」



真央の揺るぎない決意が感じられる。少し寂しそうに笑みを浮かべる真央に言葉が浮かばなかった。


真央が給湯室から出ていく姿を静かに見送るしかなかった。


コポコポと音を立て始めたコーヒーメーカーを見つめる。


ポタポタとゆっくりと落ちていくコーヒーの滴が真央の涙に見えてくる。



二人には私の知らない過去があるんだと実感した。
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