モグラ女の恋
パッと目を覚ました彼は私を見たまま放心状態。



寝起きに私の顔なんて見たら放心状態になるよね……



私は立ち上がり、キッチンでクロのご飯の用意をした。



「クロ」



名前を呼ぶとすぐにかけつけるクロ。



音を立てながらお皿の中のエサを夢中に食べ始める。



「穴井さん。俺……ごめん」



彼は物凄く申し訳なさそうな顔をして、寝癖のついた髪の毛をなおしていた。



「私は全然構いません。私もリビングで寝てしまったので。それより、仕事は大丈夫ですか?」



「今日は休み。穴井さんは?」



「私も休みです」



寝起きの彼は一つ一つの動作が遅くて何だか可愛い。



ご飯を食べ終えたクロはすぐに彼の膝の中へと入っていく。

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