モグラ女の恋
「昨日一緒にいた子だと思う」
「えっ?」
私は慌てて玄関へと向かう。
「穴井さん。どういうこと?」
そこには西城 姫香が立っていた。
「あっ。どうしたの?」
私はクロを抱く手に力を入れ、西城さんに近づいた。
「昨日、突然帰っちゃったから心配できてみたのに……男連れ込んでるなんて……しかも……」
そう言う西城さんの瞳には涙がいっぱい溜められていて、私はどうしたらいいのかあたふたしてしまう。
「最低な女」
小さな声でそう囁いた西城さんはドアを思い切り閉め去っていった。
最低な女……
どうして私がそんなこと言われなくちゃいけないの?
最低なのは……
「穴井さん?」
悔しくて立ち尽くしていた私に彼が話しかける。