モグラ女の恋
「私は勝くん狙いだったのわかってたでしょ?」



突然何?



そんなのわからないよ。



「それなのに仮病使って、勝君を家に連れ込むなんてどういうこと?」



連れ込んだわけじゃない。



「穴井さんはいい人だって思ってたのに、人の好きな人横取りするような尻軽女だったんだね」



「わ、私は……」



「仕事やめてくれない?穴井さんみたいな人と一緒に働きたくないし」



「それは……」



仕事はやめない。



何と言われようが仕事だけは譲れない。



でも、どうしてハッキリ言えないの?



そんな自分が悔しい。



「何とか言いなさいよ!!仕事やめないなら、勝君とのことばらすわよ。勝君にも迷惑がかかるだろうね」



勝ち誇ったように笑う西城さんに私は何も言えない。



下唇を噛み締め、膝の上で握りこぶしを作るのが精一杯。

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