モグラ女の恋
「俺は迷惑なんかじゃないよ」



その時、突然私の背後から声がした。



「勝君……」



西城さんの顔つきが一気に変わり、突然下を向いてしまう。



「隣座るね」



「はい」



顔を覗き込まれた私は頭の中が混乱する。



どうしてここにいるんだろう?



彼もここで働いているからいても不思議ではないんだけど、話を全部聞かれていたのだろうか?



「西城さんだっけ?」



勝君は私の隣に腰掛け、西城さんの名前を呼んだ。



「そうです」



嬉しそうに顔を上げる西城さん。



「穴井さんは仮病じゃないよ。俺が無理やり送らせてって言ったの。それに元々知り合いだったから、俺が無理やり家に上がりこんだ」



「えっ?」



「それに最低女は西城さんのほうじゃない?合コンの会場で俺もトイレに入っていたんだよね。君たちの会話は丸聞こえだったよ」



彼の言葉に顔が青ざめていく西城さん。



私はただ座っている事しか出来ないでいた。

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