空に虹を描くまで


次の日、バイトが終わると約束どおり陵に連絡をした。

3時に終わると言っていたせいか、メールを送るとすぐに電話がかかって来た。


まさか電話がかかって来るなんて思いもしなかったから焦ってスマホを落としそうになってしまった。


少し緊張するなか、受電のボタンを押した。

「もしもし」

『あ、佳奈子?』

いつもと少し違う陵の声にさらにドキドキする。

『今どこ?』

「今ちょうどお店を出て、駅に向かっているところ」

『よかった。〇〇駅のホームのベンチに座って待ってるから』

〇〇駅…?

「え!?わたしの地元にいるの?」

『あぁ、急がなくてもいいからな。じゃあ』

そう言って一方的に電話が切れてしまった。


嘘、陵がこっちに来てるの?

心の準備が整ってないのに。



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