空に虹を描くまで
さっきから一人で緊張して、きっと顔は真っ赤だろう。
自分でもわかる。
陵はそのままわたしの手を引いてくれて、元の姿勢に戻してくれた。
「ははっ、んなに慌てなくてもいいのに走るから」
そう言って楽しそうに笑う陵を見て、わたしも可笑しくなってきた。
「でもいいよね。わたしの近くこういうお祭りごとないから、羨ましい」
「そうか?佳奈子がいてなかったら俺入ってないけど」
「そうなの?もったいない」
急に後ろから花火音が聞こえた。
驚いて振り返ると、色鮮やかな花火が再び上がっていた。
「あれ?まだ終わりじゃなかったの?」
「いや…俺もよくわかんねえ」
花火が上がってから数分経っていたから、てっきり終わりかと思っていた。
みんなもそう思ったのかほとんどの人がその場を退いていた。