空に虹を描くまで
第六章 部活
家に帰り着替えると、一番にピアノへ向かった。
陵と一緒に花火大会に行って、騒いだり、話を聞いたりしたことで、わたしの中で絡まっていた糸がスッと解けていったような感じがした。
暗闇の中の小さな光を見つけたような感じ。
わたしにもきっとできる。
そんな気がした。
陵と出会って自分を変えたいと思った。
そして、由美たちに曲作りを頼まれた。
きっとこれには理由がある。
わたしの中で何かが動こうとしている。
そんな感情を抱きながら、ヘッドホンを付けそっと鍵盤の上に指を置いた。
すーっと大きく肩で息をすると、軽く指を動かし始めた。
そうこれが好きなんだ。
わたしはやっぱりこうやって自由に曲を弾くのが大好きなんだ。
だけど曲作りと改まって言われたことで、大好きなことのはずなのに、どこかで大きな重荷に変わってしまった。