空に虹を描くまで
何度も消して書き直したヨレヨレの紙に、最後の音符を書いた。
「…できた!」
ヨレヨレの楽譜を見つめ、ぐちゃぐちゃにならないように、だけど力一杯握りしめた。
長かった。
だけどあっという間だった。
何度書き直したかわからない。
何時間費やしたのかもわからない。
たとえ由美たちに気に入ってもらえなくても、後悔しない。
やっと自信の持てる曲が作れた。
達成感と疲労感と色んな感情がごちゃ混ぜになりながら、ベッドに飛び乗り横たわった。
「ふふっ」
思わず口から笑みが溢れる。
早く由美たちに報告したくて思わずスマホを手に取り、由美に電話をかけた。
「由美!今平気?」
『大丈夫だよ。どうしたの?』
「曲完成したの」
電話でそう伝えながら、カレンダーを確認した。
『え、ほんと!?すごい!』
「早速聞かせたいから明日持って行ってもいい?」
『もちろん!ありがとー!楽しみに待ってる』