空に虹を描くまで
「今日はずいぶん余裕があるのね」
「え?」
「だって最近ずっと忙しそうだったじゃない。ご飯も流し込むように食べて、その後はずっと部屋にこもりっきりだったし」
「あー…」
そりゃそうだ。
ずっと作曲の作業に取り掛かっていたんだから。
ひと段落した今、逆に時間を持て余している感じ。
「とりあえず終わったの。作業してたこと。今日学校に行ってどうなるかはまだ分からないけど」
「作業って何やってたの?」
「ひみつー」
沸いたお湯をコップに注いでコーヒーを作った。
お母さんはわたしの味方についてくれることが多いけど、いつお父さんに漏らすか分からない。
もうみんなに了承をもらって作曲はしないかもしれないけど、もしかするとまだ修正作業とかあるかもしれない。
今お母さんに言ってしまって、お父さんにバレたらまた途中で放棄しなきゃいけないことになってしまう。
これ以上お母さんに話を突っ込まれないようにテレビをつけた。