空に虹を描くまで
お母さんも悟ったのか、それ以上聞いてくることはなかった。
ちょっと冷たくしすぎたかも、と横目で様子を伺ったけど、なんだか喜んでいるように見えた。
「あ、そろそろ行かなきゃ」
かばんを持って中に楽譜が入っていることを確認すると席を立った。
「行ってらっしゃい」
お母さんは笑顔で玄関まで見送りに来てくれた。
「行ってきます!」
勢いよく扉を開け由美たちのいる学校に向かった。
今日は天気がとてもいい。
ゆっくりと雲は形を変えながら移動していく。
太陽の光が眩しいくらいにわたしの歩く道を照らしてくれる。
「おーい、佳奈子」
後ろからわたしを呼ぶ声が聞こえて振り返った。
「海くん!」
暑いのにわざわざ走って来てくれた。
「曲できたんだってな!」