空に虹を描くまで
「オッケー、キーボードも準備整ったよ」
コンセントをさした由美がわたしに合図をした。
わたしはゆっくりとキーボードに近づき、楽譜を置くと、鍵盤の上に手を軽くのせた。
海くんはチューニングの手を止め、みんなこちらを凝視している。
心臓の音が大きく脈打ち、全身に響き渡る。
手が少し震えているのが自分でもわかった。
スーッと深く呼吸をして意識を集中させた。
手に力を入れ、ゆっくりと弾き始めた。