空に虹を描くまで
「この前よりめちゃめちゃクオリティも上がってるし、すごいよ!」
「佳奈子すっごく良いよ!最高じゃん!」
「すげーよ!めっちゃいい!お前天才だな!!」
海くんはギターを置いてわたしの頭を雑に撫でた。
「ちょ、やめ」
小さく抵抗したが、その手は逆に増えみんな集まってわたしの髪をボサボサにした。
少し落ち着くとわたしは頭の中にある不安を取り除こうとした。
「ほんとに?ほんとによくできてると思う?」
「ああ、やばいよ!まじで!」
興奮気味で海くんが答える。
「曲作りの才能やっぱあるね!」
「あ、ありがとう…」
なんだか涙が出そうになった。
そんなに褒めてもらえると思ってなかったから。
それに安心した。
みんなに聞かせることができて。
曲を作るのも、みんなの前で披露するのも大変だったし勇気がいったけど、こうやって実際に感想を聞くと、嬉しくて涙が溢れないように必死に保った。