空に虹を描くまで


「実はさー、文化祭で2曲披露するんだけど、一曲はオリジナルにしようって話してたんだ。それで佳奈子に依頼したってわけ」
由美が説明した。

「じゃあこの曲文化祭で使うの?」

「そう佳奈子が良ければ」
空かさず祐介が付け足した。

「そんなの、別に良いに決まってるじゃん」

「ってゆーかさ、せっかくなんだし佳奈子も一緒に演奏しねえ?」
道端で話していた話をまた掘り起こして海くんが言った。

そう言えば、さっき話の途中で部室に入ったから返事出来てなかった。

「確かに…いいじゃん。そうしたら?」
祐介が珍しく海くんの意見に賛成した。

大抵は否定することが多い。

「そうだよ!わたしもずっーと思ってたの。でも佳奈子バイトで忙しいかな?と思ってて...」

「まー、忙しいなら無理にとは言わないけど」」

「はー?バイトなんて今後いくらでも出来るだろ?」

たしかにそれはそうだ。
バイトなんていつでもできる。

だけど、高校の文化祭はあと2回。

今回断れば、もう文化祭で演奏することはないだろう。

< 178 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop