空に虹を描くまで
「実はさー、文化祭で2曲披露するんだけど、一曲はオリジナルにしようって話してたんだ。それで佳奈子に依頼したってわけ」
由美が説明した。
「じゃあこの曲文化祭で使うの?」
「そう佳奈子が良ければ」
空かさず祐介が付け足した。
「そんなの、別に良いに決まってるじゃん」
「ってゆーかさ、せっかくなんだし佳奈子も一緒に演奏しねえ?」
道端で話していた話をまた掘り起こして海くんが言った。
そう言えば、さっき話の途中で部室に入ったから返事出来てなかった。
「確かに…いいじゃん。そうしたら?」
祐介が珍しく海くんの意見に賛成した。
大抵は否定することが多い。
「そうだよ!わたしもずっーと思ってたの。でも佳奈子バイトで忙しいかな?と思ってて...」
「まー、忙しいなら無理にとは言わないけど」」
「はー?バイトなんて今後いくらでも出来るだろ?」
たしかにそれはそうだ。
バイトなんていつでもできる。
だけど、高校の文化祭はあと2回。
今回断れば、もう文化祭で演奏することはないだろう。