空に虹を描くまで


それからわたしたちは音楽室にいる顧問の先生の所へ訪ねた。

「失礼しまーす」
海くんが軽くそう言うとガラガラと無造作に扉を開けた。

「おはようございます。今から部活始めます」
隣から由美が挨拶をした。

音楽室には顧問の先生一人しかおらず、他の先生の姿はなかった。

わたしは海くんの後ろから顔を覗かせていた。

「今日から期間限定でこいつも仲間になるんで」
海くんはそう言いながらわたしの腕を引っ張って前に出した。

引っ張らないでよ!と心で思いながら、前に出され先生と目があう。

「よ、よろしくお願いします」
海くんの急な振りにどうしていいか分からず慌てながら挨拶をした。

こんな簡単に言って認めてもらえるのだろうか。

先生の返事を身構えてまった。

「おー、そうか。期間限定っていつまでだ?」

「とりあえず文化祭まで」
わたしが答える前に海くんが率先して答えた。


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