空に虹を描くまで


「文化祭ってもうすぐじゃないか。まー、がんばれよ」

「どーもっす。じゃあ、練習きてきまーす」
くるりと反転させるとスタスタと部屋から出て行った。

「えぇ!?」
これで終わり?と思ってしまい、思わず声を荒げる。

祐介が後ろの方から戻ってこいと言わんばかりに手招きをしていた。

「え、あ、失礼します」
海くんの後を追ってわたしも慌てて部屋から出た。

先生も海くんも軽すぎて拍子抜けだ。

いや、わたしの頭が固いのかな?

「ねぇ、本当にこれで良いの?」

未だに信じられないわたしは、頼りになる祐介に海くんに聞こえないように小さな声で聞いた。

「ははは、びっくりしただろ?でも今ので大丈夫だから」

「そ、そうなんだ…」

祐介がそう言うなら大丈夫なんだろう。

それでもまだすっきりしない。

まあ、なんにせよ、とりあえず許可がもらえてよかった。


緊張がほぐれ、頬が緩んだ。


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