空に虹を描くまで


「あ、そういえば部費ってみんな払ってたよね?」

わたしがそう言うと、由美と海くんは振り返って立ち止まった。

「あー、払ってるけど、その辺どうなんだろう?」

「文化祭までなんだし要らないんじゃね?」

相変わらず海くんは適当だ。

体験入部で部活の説明を受けた時に毎月部費を支払う必要があるっていっていた。

それに毎月由美が祐介に部費を預けているのを見ていたから知っている。


「まぁ、顧問に言われたら払えば良いよ」

ニコッと微笑む祐介に危うく納得するところだった。

「いやいや、ダメだよ。っていうか、部費っていくらだっけ?」

「毎月300円。楽器の維持費とかで必要らしいけど」

「あー、ドラムとかキーボードとかは学校のものだもんね」

祐介に説明されて納得した。

ギターやベースは個人の所有物だけど、さすがにドラムまでは家には置けない。

マイクやアンプなんかも学校で貸し出してくれる。

それの維持費にお金がかかるのは当たり前だ。

それにたったの月300円なら、お世話になるんだし絶対払ったほうがいい。




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